ホルミシスの応用

様々な生体反応の解釈に用いられているホルミシス

近頃、「ホルミシス効果」と言うと低放射線刺激による薬理的効果と捉えられる嫌いがあります。しかし、ホルミシスは、”毒になるものが、用量を加減する事で有効的に働く事がある現象”を捉えた言葉です。あらゆる微弱な刺激がその対象となっている訳では有りません。その為「ホルミシス効果」と言う表現は熟しません。

ホルミシス現象を最大限に活かしている方法として、欧州のラドン温泉療法(写真はドイツ・バートクロイツナハ)が挙げられます。保険適応が認められている背景には、西洋医療に補完的な組み合わせて提供される事に有ります。多くの場合、慢性化した炎症 (痛み)の改善に用いられますが、目立った副作用が無い事や薬物療法から離脱できる事などが支持されれている要因です。また病院施設では高濃度のラドンを用いる事から、治療成果の報告や研究が義務付けられています。多くの場合、1〜3週間程度の入浴法による施術が行われ、欧州版「湯治」と言った様相です。

ホルミシスの色々
ホルミシスは有益な反応だけを切り取った言葉ではない事から、ホルミシス現象には様々な理解が想定される。現在研究されている事象としては、運動、飲酒、加齢、ラドン浴などがある。また電離放射線影響やミトコンドリア活性などもホルミシス研究のキーワードで検索できる。多くが査読付き論文として発表されているので、幅広く活用頂きたい。
運動とホルミシス
最も身近に感じられるホルミシス現象は運動であろう。過度な運度による身体機能への障害は多くの人が知るところである。しかし、軽度・適度な負荷による運動は健康増進に綱がる事が許容されている。同時に、運動によって発生する過酸化水素の存在も広く知られているが、この酸化ストレス自体がホルミシスの事例と考えられている。これに関連するのが、ミトコンドリアホルミシス(ミトホルミシス)である。近年、この酸化ストレスによる刺激がミトコンドリアの持つ機能に大きな影響を与えているとされ、グルコース制限や健康増進の一因と理解される様になってきた事は非常に興味深い。