ホルミシス現象

ホルミシス現象(効果)ってなに?

ホルミシス(Hormesis)は、始動させる、押し進めるなどの意味を持つ古代ギリシア語のhormáein に由来しています。刺激すると言った意味も包括される事から、少量で特異的な生体反応を起こすキッカケになる物質がホルモンと名付けられ、同じ語源とされています。薬物(毒物)学から生まれたホルミシスの理解は、低用量の刺激と高用量の抑制により生じるJ字型もしくは逆U字型に起こる用量反応現象です。つまり、生体反応は常に直線的にだけ起こらない事を表しています。毒が、使い方によっては薬にも成り得ると言った現象を科学的に表したものと考えて下さい。

また近頃では、「マイナスイオン」や「ラドン」の事が「ホルミシス」の代名詞の様に使われていますが、本来ホルミシスとは、生体反応における二相性を表した言葉で、人間にとって有益な反応だけを切り取った言葉ではありません。ホルミシス現象は生体反応として害にもなる事の反面、有益な反応が起こる仕組みを捉えたものです。正しく理解する事が様々な応用に繋がるのだと期待しています。

ホルミシス
1888年、ドイツの薬理学者Hugoは酵母の成長が少量の薬物によって刺激される可能性を見出した。この論説が、低容量薬物の動物実験との反応に似ている事から、薬物と生体反応に関する研究が深まっていく。1943年、ホルミシスと言う造語が初めて科学論文中に使用され発表された。ホルミシスは物質や条件の増加量の暴露において二相性の応答を示す生体反応を意味する言葉として用いられた。極端に表現すると「ある物質を高濃度や、大量に用いると害となるが、害を及ぼさない程度の濃度、あるいは量を用いると、有益な作用を果たすことがある」と言った内容となる。事例としては、適度な運動や少量のお酒は体によい作用を与え、取りすぎると害になると言った事になるであろうか。
放射線ホルミシス
1978年、ミズーリ大学のトーマス・D・ラッキー博士が電離放射線による生体影響に、薬物同様、二相性を示すことの可能性を提唱。宇宙工学の視点から、低量の放射線が生体に生理活性を示す事がある事を示し、線形無閾値モデルへの疑問を投げかけた。