欧州のラドン温泉

補完的治療法として根付いた欧州の温泉療法

写真)チェコのヤーヒモフのラドン入浴の様子
衛生管理のため、入浴毎に浴槽が洗浄され、新しいラドン温泉が充填されます

  1. 欧州では温泉療法が西洋医療に補完的に用いられています。
  2. ドイツ語圏では医療に、ラテン語圏では美容での応用されているラドン温泉。
  3. ラドン温泉療法では高濃度のラドンを維持管理するための工夫が施されています。

欧州の温泉療法は古代ローマ時代にまで遡ります。どの様に分析分類されていたのかは文献に残っていませんが、ラドン温泉は既に古代ローマ軍によって療養泉として開発され、一般の温泉とは区別されていた様です。現在残されているラドン温泉の多くは ローマ軍の居留地に由来すると伝えられています。近年、より多くの人が利用できるミスト吸引法(ロシア・ドイツ)が開発された様ですが、利便性から、ドイツ・オーストリア、ロシアを中心としたラドン温泉療法の施設の殆どは”入浴”型で行われます。多くが慢性化した炎症に対して処方されますが、理学療法や運動療法、鍼灸・電気治療など複合的なアプローチによって西洋医学に補完的な治療プランが立てられる様です。

また、ラドン温泉療法を行なっている施設では、ラドンを扱うために義務化されている条件が有ります。①ラドンを高濃度に維持管理するため、使用する温泉の温度は36~38度以下を保ち、②物理的な刺激によって空気中にラドンが拡散するのを防ぐため静かに入浴します。また、日本で有名なバードガシュタインの坑道浴病院は、坑道内の温度を上げる為、ヒーターが炊かれ高温多湿になっています。その為、利用者への心臓への負担が大きくなる事から、入坑者の条件が厳しく管理(脱水・低血糖予防)されています。